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愛媛県史 県 政(昭和63年11月30日発行)

7 エネルギー対策

 石油地下備蓄

昭和四八年一〇月以降二度にわたる石油ショックにより、石油資源のない我が国は、石油備蓄のあり方をあらためて検討する中で、地下備蓄の問題が浮上してきた。
 日本石油公団はこの問題について、「石油備蓄実証プラント」を検討していたが、海上輸送の便と地下水及び地質など諸条件に最も適した立地条件を備えた愛媛県越智郡菊間町の太陽石油菊間製造所内に建設することが決定され、五五年着工、五七年三月に竣工した。
 この実証プラントは、水封式岩盤内石油類貯蔵法といわれ、海水面下の花崗岩盤を掘削し、かまぼこ型の空洞に原油を蓄え、人工地下水の圧力によって漏れを防ぎ密封する方法で、容量二万五、〇〇〇キロリットル、地震に対する安全性などが実証された。この実績をふまえて、日本地下石油備蓄㈱は、六三年から本格的な地下備蓄基地の建設に着工(六八年完成予定)、備蓄総量一五〇万キロリットル、日本初の常圧貯蔵の横穴水封式の本体掘削に取り掛かることとなった。

 太陽光発電

昭和五五年政府は、将来のエネルギー利用対策として通産省工業技術院が研究している「サンシャイン計画」による「大規模太陽光発電プラント」の建設を検討していた。愛媛県はこの誘致を国に働きかけていたが、その建設地として西条市の工業団地(2号地)内の四万平方メートルが指定された。
 これをうけ、新エネルギー総合開発機構(NEDO)から四国電力と電力中央研究所が共同受託して、太陽光発電研究開発西条事業所を現地に開設し、五六年九月西条太陽光試験発電所の建設に着手、六一年二月完成をみた。現在一、〇〇〇キロワットの発電施設が完成し、我が国最大の規模で一般家庭五〇〇世帯分の電力を供給、実用化への技術開発が進められている。発電の仕組みは、太陽光がシリコン半導体に当たると電気エネルギーになることを応用したもので、太陽電池にはめ込んだパネル二万七、〇〇〇枚が南向きにセットされている。太陽は無限の資源であるが、安定供給とコスト問題の解明が今後の課題である。

 伊方原子力発電所の増設

昭和五五年五月、四国電力は伊方原子力発電所の構内に原子炉三号機の設置を県と伊方町に申し入れた。伊方町はこの申し入れを検討、同年九月、伊方町長は三号機設置促進を表明、町議会では受入れ決議を行った。これに対し、白石愛媛県知事は四基以上の県内立地は拒否する考えを表明し、開発の限界を示すものとして注目された。
 五六年一一月、県では三号炉設置に対して受け入れを表明、五七年一一月、第一次公開ヒヤリングにふみ切った。
 六〇年四月、県、伊方町、四国電力との間にあらためて新安全協定と公害防止協定が締結された。
 旧安全協定は原子炉を二基までとしていたのを新協定では三基を限度とすることに改定、知事権限、監視体制の強化、間接補償制度の創設を規定している。また公害防止協定は増設工事による公害を防止するためとはいえ、稼動する炉は三基であるという前提での締結であり、万全の安全対策を盛り込んでいた。
 六一年一一月、三号機の着工へと事態は進められたが、これまでの間、五四年三月の米スリーマイル事故、六一年四月のソ連チェルノブイリ事故の原発事故があり、世界的に大衝撃を与えた。これらの教訓をふまえ、十分な安全対策が至上課題とされた上での着工となった。
 発電規模は八九万キロワットで、一号炉・二号炉の各五六・六万キロワットに比べて規模が大きく、六七年三月完成予定とされている。これにより、七一年には四国全体の電力供給源を原子力五一%、火力三三%、水力一六%とする計画である。