データベース『えひめの記憶』
瀬戸内の島々の生活文化(平成3年度)
(9)喜多浦八幡大神(きたうらはちまんおうかみ)神社社叢(越智郡伯方町北浦)
伯方島北部の山裾の南斜面にある。大化の改新(645年)の始まった頃に、博多の筥崎八幡より勧請した(白鳳2年)ことにより、この島を伯方島と称すると伝えられている。河野、越智、村上、二神などの武将や今治藩主などがしばしば社殿を改築し、社領、武具を寄進した。宝物として、延元2年(1337年)再建の棟札が残っている。
社叢は、樹高約20m、最大胸高幹周50cmのモッコクが優占している。高木層には、モッコクのほかにアカマツ・ウバメガシ・アラカシ・カクレミノなどが出現する。亜高木層~低木層はタイミンタチバナが優占し、林床はヒトツバが繁茂し、ウバメガシ・モッコク・タイミンタチバナ・アカラシなどの幼木が生育している。その他の植物として、サカキ・クスノキ・ヤマモモ・スダジイ・ツブラジイ・クロガネモチ・ソヨゴ・マサキ・ヒサカキ・ナワシログミ・エノキ・トベラ・カナメモチ・シャシャンボ・ウバメガシ・アラカシ・モッコク・クスノキ・カナメモチ・イヌマキ・カクレミノ・ネズミモチなどの常緑樹、コバノミツバツツジ・ネジキ・アキニレ・ヤマウルシ・ウラジロノキ・ヤマザクラ・アカメガシワ・マルバハギなどの落葉広葉樹が見られる。以前は多数のアカマツの高木があったが、マツ枯れのために急減し朽ちた切り株だけが残っている。林は照葉樹林に移行している。モッコクの優占する林は、瀬戸内の島しょ部にはたまに見られるが希少なものといわれている。伯方町ではもっともすぐれた照葉樹林である。
写真2-1-11 喜多浦八幡大神神社 平成3年3月撮影 |