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わがふるさとと愛媛学Ⅴ ~平成9年度 愛媛学セミナー集録~

◇万物共通の言葉

 次に、万物に共通した言葉が存在するという話をいたします。
 私は、現在勉強中なので恥ずかしい気がしますが、森を含めた生態系の中にも共通語があると考えておられる先生が大阪におられます。その方は、気功から環境教育に取り組まれて、各地で伝授されています。私も、その方が独自に開発された「樹林気功」を2度ではありますが、体験させてもらいました。実際に気功をなさっている方もおられるかもしれませんが、気功には体を正常に戻してやろうという動作から、心身を鍛える動作などいろいろあります。また、気功の「気」を使った言葉というのは、人間が使う言葉の中にはとても多いということを改めて知りました。例えば、気が大きい-小さい・強い-弱い、気持ちが良い-悪い、陽気-陰気・気質・雰囲気、そして殺気-生気、あげれば限りがないくらいあるでしょう。
 人には言葉がありますが、言葉を持たないものと「気」を感じるならば、それを使って木や草花、虫や鳥たちとのやりとり、ひいては、山や川とまで感じあえることが可能になってくるように思われるのは私だけでしょうか。
 皆さんの中には、御家庭でペットを飼われている方もあると思いますが、言葉が違っても意志の疎通ができると思います、それとよく似ています。
 同じ人間同士でも、言葉の壁・お国柄・文化・風土の違いからくる多様性とか多様化に至っては、心のつながり、つまり気持ちの通いあいがなくては、問題解決になりません。正しい答えは一つではないのだということを知ることが、現在求められています。
 差別問題・民族紛争などは、人と人でさえ根深い難しさを秘めているからでしょうが、物言わぬ他の生き物とどうかかわりあって生きていくのか問われている時期ではないかと思います。直接、木と話はできないにしろ、森や山や小川の表情は、今何かを訴えているようです。
 最後に皆さん、森の中に入ってみませんか。木々に抱かれて時を過ごすと、木々の緑が違って見え、小鳥のさえずりが違って聞こえます。こんなに自然の多く残された小田深山を、これからも小田町のすばらしい財産として大切に残していこうと思っています。
 以上で、私の発表を終わります。御清聴ありがとうございました。