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中山町誌

九、 鉄器と木器の普及

 古墳時代中期においても、農業生産を高めるために、農具の改良がなされていた。今までの農具の木質部に鉄器を取り付けた組み合せ農具が普及し、農耕作業及び収穫方法が変化した時期である。一方、大和朝廷の国内統一のために武具の需要が増大した時期でもある。
 このため鉄の輸入が増大し、朝鮮半島の鉄ていという薄い延べ板状の鉄板が、各地で武具や農具に加工された。
 瀬戸内海に浮かぶ魚島大木遺跡に、航海の安全祈願として鉄ていが祀られている。ほかにも、伊予郡松前町出作遺跡で、水霊信仰と鍛冶集団に残された鉄ていがある。
 松山市福音寺町竹ノ下遺跡では、護岸工事の「しがらみ(柵)」を越えて氾濫した後背地に堆積した土師器・須恵器・釧玉杖の頭部の他に、建築用材・土木用材・農具・工具・生活用具などが出土した。農具では鋤・エブリ・鍬・鋤柄・横槌・鎌柄・菰編み用の槌の子、工具や生活用具では手斧の柄・木盆(舟形・方形)・掻棒・縦櫛・竹龍・行季龍・水弓・琴板・杖等が出土しており、その他に丸木舟の模型が出土している。

図1-6 福音寺竹ノ下遺跡の各種木器

図1-6 福音寺竹ノ下遺跡の各種木器