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中山町誌

五、 農業経営基盤強化の方向

 構造再編の方向
 本町においては、地域の産業構造の現状及びその見通しの下に、農業を将来においても町の基幹産業として振興していかなければならない。若者が農業に魅力と夢を感じ、やりがいのある職場として、選択し定着できるような、農業経営の目標を明らかにし、その実現に向けての施策を集中かつ積極的に実施することが重要である。
 このため、愛媛県の農業関連計画をはじめとする「中山農業振興地域整備計画」等の整合性に留意しつつ、計画的な土地利用を基本として、優良農用地の確保を図らなければならない。効率的かつ安定的な農業経営体を育成すると同時に、これらが主導的立場となる先進的な地域の農業構造を確立する方針である。
 また、農業の改善を計画的に進めようとする農業者に対する経営基盤強化を促進するための措置を総合的に講じ、本町農業の健全な発展を図るものとしている。
 具体的には、一〇年後(平成一五年度)に実現の可能性のある目標とするため、本町及び中山間地域において現に成立している優良な経営の事例を踏まえたものとする。そこで農業経営において他産業従事者と均衡する年間総労働時間(主たる農業従事者一人当り二、〇〇〇時間程度)の水準を達成する。また地域の他産業従事者並の生涯所得に相当する年間農業所得(主たる農業従事者一人当り六〇〇万円程度で、一経営当り二人の労働力と想定した場合の経営体としての年間農業所得六八〇万程度)を確保できるような効率的かつ安定的な農業経営体を育成すると共に、これからの経営体が本町農業生産の相当分を担うような農業構造を確立していくことを目標とする。

 構造再編の方法
 目標を達成するため、地域(集落、校区)における話合いと農業者の自主性と創意工夫を基調とし、将来の地域農業を担う若い経営者の意向やその他の農業経営に関する基本的条件を考慮する。農業者又は農業に関係する団体が地域の農業の振興を図ることを目的とする自主的な努力を助成することを旨として、意欲と能力のある者を支援する次のような活動や措置を総合的に実施する。
 町・農業協同組合・農業改良普及センター等の連携の下に、濃密な指導を行うためのシステムを整備し、農業の将来展望や農業構造の再編に関する懇談会などの活動を促進する。
 望ましい経営を目指す農業者や集団及びこれらの周辺農家に対し経営診断や農業改善方策の提示等を行い、地域の農業者が自らの将来方針について主体性をもって選択判断を行うことなどにより、経営改善計画の自主的な作成や相互の連携が図れるよう誘導する。
 農業経営の改善を図るため、土地利用型農業による発展を図ろうとする意欲的な農業者に対し、現在実施している農業委員会を核とした農地銀行活動の強化促進を図る。それと共に、農地流動化促進委員による掘り越こし活動を一層促進し、農地の出し手と受け手に係る情報の一元的把握の下に、両者を適切に結び付ける利用権設定等を進める。
 耕作放棄地を抑制する農地貸借による経営規模拡大と併せて、農作業受託による実質的な作業単位の拡大を推進することとし、貸借の促進と受委託の推進が一体となって、意欲的な農業経営の規模拡大に資するよう努める。具体的には、貸借と受委託が円滑にかつ効果的に展開するよう、調整機能を有する組織を設け、地域農業の隔離システムを構築する。
 集団的な営農並びに高収益型農業の発展を助長するため、農業協同組合、農業改良普及センター等との連携と指導の下に、施設園芸の作型・品種の改善及び新規作物の導入を図る。そのためには、高齢・兼業化の進行に伴う急速な農地流動化に対応できる生産法人等の組織、経営体の設立・育成と農作業受託組織の整備と支援体制を図る。
 効率的かつ安定的な経営と、小規模な兼業農家、高齢農家、土地持ち非農家との間で補助労働力の提示等による役割分担を明確化しつつ、地域資源の維持管理、農村社会の維持に努める。地域全体としての発展に結び付くよう、効率的かつ安定的な経営を目指す者のみならず、その他兼業、非農家にも農業経営基盤強化促進法(昭和五五年法律第六五号、以下「法」という)その他の諸施策に基づく経営基盤の強化及び構造の再編の意義について、理解と協力を求めていくこととする。
 農業経営改善註画の認定制度については、本体制を望ましい経営体の育成施策の中心に位置付け、農業委員会、農業協同組合、農業改良普及センター等の関係機関団体の連携の下に、制度の積極的活用を図るものとする。
 町、農業委員会、農業協同組合が連携し、農業改良普及センターの協力を受けて、経営改善計画の認定を受けた農業者もしくは組織経営体、または今後認定を受けようとする認定志向農家を対象に、経営診断、先進的技術の導入や生産方式、経営管理の合理化等の方策について重点指導及び研修会の開催等を行う。
 生産基盤の未整備により、土地利用型農家で規模拡大が困難な地域や条件不利な地域においては、施設型農業の誘導並びに新規作物導入等による産地形成や有機農法による特定銘柄産地形成もしくは、環境保全型農業へ誘導することとする。
 高齢・兼業農家及び婦人層も地域農業の重要な担い手として位置付け、引き続きなお一層これからの農業を支援する。また、農地の流動化などを推進し、安定的な経営体へ育成するとともに、効率的な経営体となるよう誘導する。
 農村景観、自然環境に配慮する一方で、農家負担を考慮しつつ、計画的な農地造成やほ場、農道、園内道、作業道等の生産基盤の配慮を図る。また、ハウスや雨除けハウス等の施設の整備も実施する。

表1-16 農業経営指標一覧表

表1-16 農業経営指標一覧表