データベース『えひめの記憶』
中山町誌
第一節 俚諺
俚諺(ことわざ)は、われわれの先祖による永い生活体験の中から生まれた。その地方の生きた言葉で語られた俚諺は、親しく柔らかく表現され、多くのものは普遍妥当性を持つ真理とさえ信じられ、人々に対して生きた警句となってきた。そして各世代が受継ぎ、今なお生活の中で語られ役立つことが多いのである。
それを分類すると、大体、季節天候に関するもの、農耕に関するもの、吉凶に関するもの、動物に関するもの、一般生活に関するもの等がある。
1 季節天候に関するもの
暑い寒いも彼岸まで
雨蛙が鳴くと雨が降る
夜あがりの天気は雨が多い
ついたち日和は三日しかない
夏の夕やけ川向うへ行くな(橋を渡るな)
八十八夜の別れ霜
魚が跳ねると時雨がある
トウキビが高くなる年は大風が吹く
朝曇大日のもと
百日のひでりもう一日
梶の葉に雪がかかった年は雪が少ない
大川の水が急に減ると雨が近い
降り入り天上照り天上、照り入り天上降り天上
庚申降り
冬南の雲が出ると雨が降る
北雲が出ると晴、南雲がたてば雨が降る
霜あがりすると雨が降る
山が大変近くに見えると雨が降る
月夜の雪は積もらない
秋の夕やけ鎌をとげ
駒鳥が鳴くと雨になる
夕賜朝賜晴天の徴
星がきらきらまたたくと夕立日和になりやすい
蜂の巣が低い年は風が強い
冬西北から雲が出れば寒波か雪が降る
2 農耕に関するもの
瓜の蔓には茄子はならぬ
桃栗三年柿八年
桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿
閏年にはそばがよく出来る
のらの節句働き
三月に大雨が降ると麦が腐る
彼岸の中日にまいたトウキビは七夕に食べられる
柚子のふところなりは雪が多い
枇杷の花年は麦の豊作である
大雪の次は豊年
亥の子の三度あるときは麦まき日和にめぐまれず
柿の花の沢山ついた年は豊作
トウキビは四月中にまけ
3 吉凶に関するもの
烏がよく啼くと死人がある
初物食えば七十五日長生きする
夜の犬の遠声は火事がある
蛇の夢を見ると金子が出来る
夜爪をつむと狂人となる
髪の毛をもやすと狂人となる
庭に枇杷を植えると病人が絶えぬ
鶏の宵鳴きは火がさどい
足袋をはいて寝ると親の死目に会えぬ
南天が茂ると家が栄える
茄子を一所に二本植えると凶事がある
朝のくもは殺すな
正月に茄子の夢を見ると出世する
一富士二鷹三なすび
お盆に川へ行くとえんこがひく
蛇を指さすとその指がくさる
鼠が急にいなくなると火災がおこる
熊蜂が巣をつくると家にもめごとが起こる
4 動物に関するもの
猫が暑いのは、三日だけ
犬は三日飼えば、三年その恩を忘れぬ
猫は三年飼っても三日しか覚えてない
海の魚は身から、川の魚は皮から焼け
魚は大名に焼かせ、餅は乞食にやかせ
5 一般生活に関するもの
京の妹に隣を代えな
うまいものは宵に食え、言いたいことは明日言え
遠くの親戚より近くの他人
ばたばたするな鶏ゃはだし
あさっての紺屋晩かじや
大食いの長食い 月夜に大風なし
人は見かけによらぬもの
一合粥、二合雑炊、三合ずし、四合とろろ、五合さつま
小ぬか三升あったら養子に行くな
器用貧乏村宝、隣のバカに使われた
中折ればんぞうばかでもする
鰯の頭も信心から
親の意見と、茄子の花には千に一つのあだがない
おんびきゃ跳んでも休みが長い
どんぐりの背くらべ
人のごぼうで法事する
出る釘は打たれる
子供は正直
壁に耳あり、障子に目あり
ばかとはさみは使いよう
わが蝿を追う
朝の雨と女の腕まくり
捨てる神あれば拾う神あり
お里が知れる
爪でローソクをとぼす
年寄の冷水
上手の手より水がこぼれる
弘法は筆をえらばず
猿も木から落ちる
たなからぼた餅
釈迦に説法
うわさをすれば影
便所長旅
大食の早糞
紺屋の白はかま
早知恵の浅知恵
木にはきらずの肥
鼠の子は裸
得手二人力
雨だれが三途の川
夜道にゃ日が暮れん
内弁慶の外すぼもり
げすの食い震い
歯、まら、眼
安物買いの銭うしない
ねこなで声に油断すな
兄弟は他人のはじまり
竹八木六酒七つ
相性は六つ違いがよい
火つつき貧乏
後から気がつくばかの知恵
祈れや薬
案ずるより産むが易し
黙り者の事起こし
野良牛のはみ急ぎ
夜道の猫にかかわるな
ばかにつける薬がない
夫婦けんかは犬もくわぬ
急がば廻れ
よその飯はうまい
老いては子に従え
すずめ百まで踊りはやめぬ
岡目八目
貧すりゃどんする
地獄で仏
とらぬ狸の皮算用
山楸の木に裸
仲裁は時の氏神
良薬は口に苦し
可愛い子には旅をさせ
苦しい時の神頼み
知らぬが仏
うその皮ははげる
あんきまごろく
手八丁口八丁
二度あることは三度ある
横目にまかせ
死人に口なし
小便八丁、くそ半里
商いは牛のよだれ
大畠の隅は末子にやれ
半夏のはげ上り
毎日掃けば草は生えぬ
遠慮ひもじやだてさむや
馬鹿の高上り
いたちの最後屁