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中山町誌

第二節 俗信

 俗信とは、「俗語・世間のうわさ」という意味である。俚諺と同じく、過去の生活体験からの知識から生まれたものが多く、科学的証明の有無とは別に、一般的に流布されている。
 ここでは、禁忌と縁起に関するもの、ましないに関するものに分けてみた。

 1 禁忌と縁起に関するもの

  籾種まき、田植えは巳午の日を避ける
  屋根ふき、たてまえ、山焼きには三りんぼうの日を避ける
  神棚、仏壇、北向きにしない
  葬式出棺は、友引の日にしない
  かまど(クド)は北向きにしない
  鬼門へ便所を建てない
  夜、口笛を吹くと、おおかみが来る
  子供は跨がれると大きくならなくなる
  妊婦が障子の穴から火を見ると、のぶやけの子ができる
  火あそびをすると寝小便が出る
  ひのえひのとの日に、かまど、いろりを塗ると火難がかかる
  顔に墨をつけて寝ると恐しい夢を見る
  いちじくを食べて灸をすると死ぬ
  はす芋は盗み種でないと良くできぬ
  柱を逆に立てた家は栄えない
  秋の社日に大根畑へ入ると、大根が苦くなる
  人に悪口を言われると耳がかゆくなる
  頭をゲジゲジがなめるとハゲになる
  朝グモは殺すな、夜グモは殺せ
  柿の木から落ちると大ケガをする
  古鎌を野良へ捨てると「のがま」になる
  お盆に泳ぐと「えんこ」がひっぱる
  朝出の道を「いたち」がよこぎると縁起が悪い
  亀が食いつくと雷がなるまで放さぬ
  夕方「かくれんぼ」をすると、神かくしにあう
  吃の真似をすると吃になる
  幼児を驚かすると馬鹿になる
  殺した蛇には釘を打って流さぬと生きかえってくる
  山でかずらを割る音をたてると、まむしが出る
  人が夢枕に立つと不幸がある
  寝言と話してはならぬ、言い負けすると縁起が悪い
  死人を猫にまたがしてはならぬ
  川で蛇の骨をふむと足が腐る
  七夕笹を野菜畑に立てると虫がつかぬ
  「つち」に竹を切ると必ず虫食い竹になる
  お使い蛇は殺すな
  仏壇、お墓の花立ての水をつけると「イボ」が治る
  一膳飯で終わると縁起が悪い
  雷が鳴ったら蚊帳の中へ入れ
  雷が鳴ると「桑原桑原」というと落雷しない
  墓参りはかげり花(夕刻)やついで花はおらぬ
  上歯が抜けると床の下へ入れ、下歯が抜けると尾根に上る
   (下歯がぬけた時スズメの歯と生えくらべ我が歯が先き生えた)
  冬至に南瓜を食べると中風にならぬ
  十二月八日に田楽を食べると、一年の嘘が消える

 2 まじない

○ めぼおとし
  豆を持って川の水を水鏡にして、豆で目をさすり、「豆を落とそうと思うたら目ぼが落ちた」と言うて豆を落とし、振り向かずに帰る。

○ まむし除け(山へ入る時に唱える)
  道行かば錦まだらの虫ならば、山形ひめにかくと知らさぬ アブラオンケンソワカ アブラオンケンソワカと唱える。
  大神宮様、大神宮様、大神宮様と三度繰返す。

○ 百足除け
  柱々へ「甘茶」と書いて逆さに貼る

○ 手しろが起きた時
  男の時は女に、女の時は男に破れ障子の穴越に向こう側から糸で手首をくくってもらう。(末子のこと)

○ 子供が頭を打った時
  打ちどころヘツバをつけて、ハゲにもなるな、コブにもなるな、アブラオンケンソワカ アブラオンケンソワカと唱える。

○ 灸をすえる時
  もぐさに火をつけて、すえどころの上へかざし、廻しながら今日はすえ日、明日はほせ日、明後日は治り日、人参しろけ人参しろけと唱える。

○ 蜂にさされた時
  普通の蜂が刺した時は、剌された所へ八の字を八回書き、熊蜂の時は九の字を九回書けば痛みがとれ、腫れない。

○ 水田が稲熱病にかかった時
  お地蔵さんの灰もらってふればよい

○ 咽喉に魚の骨が刺さった時
  「鵜ののど」「鵜ののど」「鵜ののど」と三回唱えて喉をさする

○ 風除け
  家の庭の隅や立木に、竿を立てかけてその先に鎌を結びつけておくと、此の鎌で風を切るので、風害を避けるという。

○ 亥の子吊り
  亥の子つきの終わった「わら亥の子」を近くの柿の木などに吊るすと、毎年良く成るという。