データベース『えひめの記憶』
久万町誌
3 昭和五〇年代以降の地方財政
昭和三〇年代後半から長期にわたって繁栄を続けた高度経済成長は、四八年の石油ショックをさかいに終りを告げた。五○年以降経済は停滞し、低成長時代に突入した。五〇年代の我が国の財政は、国、地方を通じ収支不均衡を生じたため、巨額の公債発行(いわゆる自治体の借金)に依存せざるを得なくなった。
自治体は、長引く経済の構造的不況から立ち直り、安定成長を図るため、公共事業の前倒しや拡大に努力を傾けた。投資効果は徐々に現われ始めたが、一方、財政は公債に依存するところが多くなり、ますます財政構造を悪化させる原因となった。
五六年、国は、財政の立て直しを図るため臨時行政調査会の答申を受けて行政改革をスタートさせた。国、地方を問わず、公債依存からの脱却、職員の定数是正、補助金・手数料・分担金等の見直し、議員定数の是正、経費節減など細部にわたって検討がなされ実行に移された。
五〇年代後半は「地方の時代」の幕開けでもあった。これまでの政治経済の都市集中型から地方分散型への移行が強く叫ばれ、その努力が求められた。
六〇年代に入り、景気も徐々に回復し、更には長期安定化の様子を呈している。経済の安定に支えられ国民生活も中流意識が高まりつつあるなかで、住民意識や価値観の変化に対処し急速に進む高齢化社会に対応し、二一世紀に向けて快適で住みよい町、個性的で魅力のある町づくりに努力していかなければならない。