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面河村誌

五 面河ダムの効果と今後の展望

○人口の減少
 戦後の経済成長の波は本村にも押し寄せ、人口を都市に集中させ、いわゆる農山村の過疎を生み出したが、面河ダムの建設も、その過疎に拍車をかけたことはいなめない事実であろう。すなわち面河村内一番の穀倉地帯といわれた米作地帯の笠方にあって、比較的生活も安定しており、面河村にとっても、これが水没することは痛手には違いない。しかし、水没者はもちろん、村当局も大乗的見地から、小異を捨てて大同についたのであるが、当時の面河人口四五七〇人は一きょに三八〇人の減少を見たのである。その後も減少の一途をたどり、現在人口一五〇〇名、約三分の一になってしまった。
○清流の枯渇
 清らかで豊かな水が売り物であった面河渓を中心とする面河川の水は水量を減じたことも事実であろう。
○村にとって、こうしたデメリットも確かにあった。しかし二〇年近く経過した今日、不満ばかり言っていてもしかたがない。ダムサイドに立って往時をしのび感傷にばかりひたっている時ではもはやない。今後の面河のあるべき姿を摸索すべき時である。こうした見地から村当局においても「観光地 面河」としての基本構想を立てて実行に移しつつある。
  1 ダム周近を観光地として積極的に利用する。
  2 ダム付近を運動公園として夏季合宿場等にする。
  3 堂ヶ森への登山基地とする。ダムをボート等の遊園地として利用させてもらう。
  4 養魚池として利用
  5 聖流郷「面河」として石鎚登山コース・スカイラインと共に観光宿泊等、観光地としての面河をつくり出していく。
  6 笠方地区住民の生きがいを新産業に求める。 
   ○果物等の導入
   ○キジなど野鳥飼育
   ○清流魚の養魚
  7 黒森線など県道の改修(トンネル・幅員拡張)により、松山寄りのベッドタウンとして売り出していく。
○この水は多目的ダムとして県全体の産業振興に役だっている。
  1 発電としては、第一・第二・第三発電所の発電量 二万五一〇〇キロワット
  2 農業用水として、道前平野、三九〇〇ヘクタール・六〇四五戸の農家にうるおい、道後平野八四三〇ヘクタール・一万五八〇○戸の農家の水田野菜、果樹灌漑としてスプリンクラーが回っている。
  3 工業用水としても、松山市や伊予郡松前町の大工場の工業用水として利用されている。