データベース『えひめの記憶』
美川村二十年誌
二、字の区域の変更など
美川村は大字仕出・七鳥・東川・黒藤川・沢渡・中黒岩・上黒岩・有枝・大川・日野浦の一〇区域に区分されているが、それぞれの区域の境界は明確でない。地籍調査事業を契機に河川・道等の長狭物や畝境等によって大字界を設定して明確にするとともに、大字を廃止(例えば大字有枝を有枝に変更)し、あわせて小字名も廃止することとした。これは地籍調査において合併があったものとして処理する必要や、登記事務その他行政等事務手続きについても簡素化をはかるためである。地域ごとの住民との話し合いや、議員協議会でも充分論議をして実施することとし、併せて地番変更も行うこととした。現在美川村内で地籍調査が完了して大字をとり除いた地区と、その廃止年月日は次のようである。
○県知事の告示月日
有枝 昭和四八年六月二六日
七鳥 昭和四九年二月 一日
東川 昭和四九年五月一〇日
なお国土調査実施の跡を顧みて、新谷村長は次のように述べている。
国土調査回顧の一端 美川村長 新谷 優
一、あなたは山林をいくら持っておりますかの問いに、早速その面積を答えられない。一筆毎の実面積が判らないのである。
二、字限図を見ても場所・形状も確かでない場合が多い。かえって紛争のもとになる場合がある。
三、所有権の移転登記の場合、確実な地名を記入しても不都合なこともある。
これらは何んとかならないものだろうか、此の改正が住民の長年の希望であったが、一三五平方㌔の面積と五万余筆に及ぶ筆数では大変な事業だろうと、気の遠くなる思いで仲々思いつけなかったが、県農地拓殖課の数回に及ぶ勧誘と指導で、昭和四五年四月一日規程第六号により公布されたが、決断までに二年くらいかかったと思う。
やるからには合理的にと、先ず測址技術の有資格者を養成するため測量専門学校に二名を起用し入学させた。
次に年次計画による村民個々の心がまえと、部落の協力体制を得るため、部落説明会を開いた。実施部落は年々変るが円満に、また能率的に進めている。これも村民の理解の深まりと職員の経験の知恵だろうと思う。四等三角点の設置から一筆地調査、一筆地測量・面積測定、複図作成等々、特に見事な原図、複図に喜び、目下登記完了へと努力中であるが、その成果は今後村民の新たなる期待にこたえる事を確信している。
また登記所へ地籍簿・地籍図・地番対照表等を持ち込んだ時点で、測量完了部落の協力委員の方々に、感謝状と粗品を贈呈してその労をねぎらっている。
地籍調査事業開始経過概要
四四、一二、 五 県に対して地籍調査事業の実施要望書提出
四五 、二、一八 昭和四五年度地籍調査事業計画書県に提出
二、二三 地理院四国測量部長に対し基準点測量方の陳情
三、一四 国土調査推進協議会開催
三、三一 国土調査実施に伴う部落説明会開催
四、 一 国土調査事務体制確立 専任三名兼務二名
五、一三 昭和四五年度地籍調査事業計画 県と協議
五、一五 昭和四五年度国土調査(地籍調査)費補助金内示
五、二九 実施協力委員一三名委嘱
七、 五 一筆地確認調査開始
七、一五付昭和四五年度地籍調査事業計画承認
九、 三 国土調査費補助金決定通知
九、 四 美川村告示六号で地籍調査実施の公示
九、二六 CDF測量契約 平和測量株式会社
一〇、 八 松山地方法務局美川出張所との協議会開催
一〇、 九 図根点現地選定に入る(平和測量)
一一、 六 現地測量開始
美川村全図 |
愛媛県上浮穴郡美川村地籍図 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和45年度 上浮穴郡美川村有枝 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和45年度 上浮穴郡美川村大字上黒岩 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和46年度 上浮穴郡美川村有枝の一部 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和46年度 上浮穴郡美川村七鳥の一部 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和46年度 上浮穴郡美川村大字上黒岩の一部 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和47年度 上浮穴郡美川村東川の一部 |
地籍調査実施前後の地目別筆数面積変動表 昭和47年度 上浮穴郡美川村七鳥の一部 |
昭和49年度事業計画地区別説明書 |