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美川村二十年誌

第一節 住 居

 最近では新しい建築技術が導入され、建築材料も近代化されているので、旧家の特色をとり上げて述べる。
 現在、本村に残っている古い家屋の中には、一〇〇年以上たっているものも少なくない。これらのほとんどはカヤ葺きである。戦前までは瓦葺きよりも、カヤ葺きやスギ皮葺きが多く見られた。最近では大量のカヤが入手しにくいこともあって、トタンやかわら屋根にする家もある。
 内部の柱は、直径三〇㌢以上もあるものがめずらしくない。家の中には広い土間があり、ここで小作業ができるようになっている。ここには、かまどが二つぐらいあり炊事場になっている。土間と座敷の境には大黒柱がある。この柱はよく磨き入れてあり、大切な家の護りと考えている。居間の中央には一辺一㍍以上の大きな「いろり」がある。天井から「自在鉤」がつり下げられ、いろりには四方から大きな「くいぜ」といわれる木が入れられ、長時間火が消えないようにしている。ここは食事をする場所であり、冬は暖をとり、一家だんらんの場である。
 家の前には、広い庭があり、穀物の乾燥や脱穀などに利用できるようになっている。屋敷内には、畜舎と、農器具を入れる物置が併設されているところが多い。
 井戸水の利用は比較的少なく、湧水や流水を利用するところが多い。
 風呂は明治のころには、ほとんどが桶風呂で野天のものが多く、五戸ないし一〇戸に一つぐらいしかなかった。
便所は、ほとんどが家の西方に建てる風習になっている。