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柳谷村誌

第二節 「町村制」施行期の行政展開①

 「町村制」は明治二一(一八八八)年四月二五日制定公布、同年七月一一日付の町村制施行規則の訓令布達により施行された。「町村制」は六章からなり、第一章 総則 第二章 町村会 第三章 町村行政 第四章 町村財産管理 第五章 町村内各部行政 第六章 町村組合となっている。第一章総則はさらに、1 市町村の区域、2 町村住民と権利義務、3 町村条例と規則と細分規定されている。町村制施行規則は、その冒頭に合併についての留意事項を九条にわたって詳しく訓令し、町村制施行について村の区域、戸数、人口資力の基礎調査の必要を明らかにし、それらについての調査具申を郡長に下命しているのである。
 明治政府は、この「町村制」施行に際し、わが国の地方自治制度の根本義と思われるものをつぎのように述べている。

 今、地方ノ制度ヲ改ムルハ、即チ政府ノ本務ヲ地方ニ分任シ、又ハ人民ヲシテ之ニ参与セシメ、以テ政府ノ繁雑ヲ省キ人民ノ本務ヲ盡サシメントスルニ在リ。而シテ政府ハ政治ノ大綱ヲ握リ方針ヲ授ヶ国家統制ノ実ヲ挙グルヲ得可ク、人民ハ、自治ノ責任ヲ分チ以テ専ラ地方ノ公益ヲ図ルノ心ヲ起スニ至ルベシ。

 「町村制」を拠りどころとしてスタートした「村長府地方自治政治体制」は、完全自治を夢想させ速断させる底のものではない。立前と本音、原理と運用の関係はその調和の妙用が肝要である。「村長府地方自治」が、地方自治の固有の機能の原理に立つというよりも、「国家統制ノ実ヲ挙グル」ための手段として利用するところのものであった。今町村制施行期五七年間の行政展開をかえりみるとき、「町村制そのもの」をはじめ、郡制、府県制などの改正などを伴って漸進的に「自治権」の拡大とその整備ははかられはしたものの、二重、三重の剛構造を剛構造の上に構築された「町村制」の運用は、あくまで中央政府の出店(代理店)としての「村長府」の行政展開の相をくずすことはなかった。ただしそれが「民族独立」の大眼目と民情の現実確認に立脚したわれらの賢明な選択であったことを忘れてはならない。以下わが村の町村制施行期五七年間の行政展開を村長部局を中核として、輔翼機関村会の構成、会計年度決算から想定する財政動態、村行政の進展を策定する行政施策、などの内部統合に依ってそれぞれの期の行政相を窺って見よう。

町村制施行期の行政展開 1

町村制施行期の行政展開 1


町村制施行期の行政展開 2

町村制施行期の行政展開 2


町村制施行期の行政展開 3

町村制施行期の行政展開 3


町村制施行期の行政展開 4

町村制施行期の行政展開 4


町村制施行期の行政展開 5

町村制施行期の行政展開 5


町村制施行期の行政展開 6

町村制施行期の行政展開 6


町村制施行期の行政展開 7

町村制施行期の行政展開 7


町村制施行期の行政展開 8

町村制施行期の行政展開 8


町村制施行期の行政展開 9

町村制施行期の行政展開 9


町村制施行期の行政展開 10

町村制施行期の行政展開 10