データベース『えひめの記憶』
柳谷村誌
第二節 養育
名付け
名付けは、七日目のお七夜にするところと、三日目から七日までの間、また三日・五日・七日目などのうち、いずれかの日を選んでするなど、さまざまである。名付けの方法では。数枚の紙に、それぞれ付けたいと思う名前を書いて、その紙を小さく丸めておぼんの上にのせる。それを神前に供えて、おぼんを振って最初落ちたのを拾って付けるなどしていたところもある。そうして名付祝いをする。
名付け親
名付け親は、一般に拾い親といわれることを意味している。子供がよく育たない家の子、父母の厄年に生れた子、虚弱な子や年回りの悪い子などは、一度捨てる意味で道まで連れて行き、最初に出会った人とか、またあらかじめ頼んでおいた人に抱いてもらって、その人が親としてその子の名を付けたり、付けかえたりしてもらう。このことを「取り上げてもらう」といい、仮親になってもらったこの人のことを「名付け親」「とり上げ親」などと呼んで、盆や暮れにはお礼の挨拶をしていた。
宮参り
晴衣として、赤ん坊に一つ身の着物を縫ってやり、生後三三日目に初めて氏神様にお参りさせる。生れたことを氏神に告げ、すこやかな成長を祈念する。宮参りへは、嫁の母親などが、忌の晴れた産婦と一緒に行くことが多かった。
食べぞめ
生後百日間の無事な成長を喜び、将来の健康を願って、赤ん坊のため茶椀と箸を揃える。箸揃えともいった。赤ん坊にご飯を一粒でも食べさせるとよいとしていた。
初誕生
生後満一年を迎えると、親戚などを招いて、子供の成長を祝う。誕生餅、一升餅・知恵餅などと呼ばれる餅をつき、白または紅白の重ね餅を、ふろしきに包んで背負わせて歩かせた。餅を背負わせるとその子が強くなり、知恵がつくといわれ、一般に餅を背負うことは、縁起のよいこととされた。近隣へは祝いのしるしとして餅を配ったりした。
七五三
毎年一一月一五日に、五歳の男児・三歳は男女児・七歳の女児を神社に参詣させる風習であるが、子供の成長期において、重要な段階と考えられる年ごろに、神参りさせるものである。我が村では、近年になって普及したもので、昔は別に七五三としては行われていなかったようである。