データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

柳谷村誌

一 相互扶助

 モヤイ 

 モヤイ(催合)のことをツキヤイともいう。神社・寺・学校・道掘り・道刈り・井手掘りなど、生活に関する共同、あるいは、共同作業があり、これらに出役することを意味する。働き盛りの男が各戸から参加することをヤク(役)と呼び、出役の順番を、ムラマワリ(大字)組マワリなどといった。これらの作業で、比較的軽い作業、主として道刈りなどの場合で、労力を多く必要とする場合は、隠居や子女も参加することがあり、これを、アシダチと呼んでいた。足の立つものは全員という意味である。一般に、モヤイに参加するのは、男で一人前の仕事ができる者とされていたが、止むを得ぬときは代理人でも許された。
 共同で焼畑などを作り、収穫物を分け合うような場合もモヤイと呼ぶ場合があったが、これは個人的であって、ヨリヤイの意味が強い。

 イ イ 

 イイは、ユイ(結ぶ)結合を意味することばである。テマガエともいわれるように、相互の労力交換である。イイの入れ合い、イイ入れなどといわれ、また返すことを、イイナオシといった。一時的に労力が不足する農作業、田植え、稲刈り、トウキビ取り、大豆まき、小豆まき、山伐りなどひんぱんにイイが行われた。一日の労力に対しては、必ず一日の労力を返さねばならず、金銭や品物で相殺することは許されないのが特徴の一つであった。

 コウロク 

 コウロクは、オコウロクなどともいわれ、「合力」からきたことばと考えられ、助け合いの意味である。最も広範囲に、また日常的に行われている相互扶助の方法で、親戚や隣近所において、またその他、家の普請、家族の病気、災害などの場合の片付けなど、手弁当による労力奉仕が行われてきた。