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わがふるさとと愛媛学Ⅳ ~平成8年度 愛媛学セミナー集録~

◇「うちぬき」について

 環境庁が選定する「名水百選」に選ばれたことで御存じのように、西条市内には冷たくてきれいな地下水が自然に噴き出している「うちぬき」井戸が2,000本くらいあります。「うちぬき」というのは、全国的に言いますと、「掘り抜き井戸」のことです。地下は圧力がかかっていますから、砂利の層と粘土の層が重なっているところまで掘りぬいて(打ち抜いて)やりますと、地下水が勢いよく噴き出すという場合があり、西条がこの例です。
 以下、スライドで御説明させていただきます。(紙数の都合により、一部を掲載)

写真1
 観音水というところの泉で、右上隅のところから水が噴き出しています。

写真2
 これも泉ですが、これは観光用として、ちょっと圧力をかけ、噴水仕掛けにしています。西条市では、こういうのがあちこちにあり、町おこしの材料として使われています。

写真3
 「うちぬき」です。西条市の中心街の道路沿いに、こういうように「うちぬき」を抜き、自然に水が出るようにしております。非常においしい水ですので、市外の方などがたくさん汲(く)みに来られ、それでお茶などをいれております。

写真4
 私の家の「うちぬき」です。これで、10ℓ入りの中型バケツが約10秒間で一杯になる量が出ています。1秒間に1ℓの割合で、1日では86t。5t積みのガソリンを運んでいるタンクローリー約17台分が1日に出る量となります。
 夏には、ここでビールやスイカ、ウリ、トマトなどを冷やします。この地下から湧いて来る冷たい水のおいしさというのは、暑い日にはまた格別です。後で御説明しますが、この水は石鎚山のお陰で出ているわけで、私はこの水を飲みながら、石鎚山に生かしていただいているという思いを常々抱いております。
 子供のころは、「水がよく出るなあ。どうしてひとりでにこんなに出るのだろう。」と不思議には感じておりましたが、この地域が西条市でも非常に地下水に恵まれたところであるとは知りませんでした。関心を持って調べていくうちに、ここの「禎瑞(ていずい)」という地名も、「(水が噴き出して)めでたい」ということで殿様から頂いた名前であり、またこの地域が、「うちぬき」を抜く打ち抜き師の根拠地であったこと、さらに、今や日本一ともいわれる「おいしい水」を有する地帯であることが分かってきました。