データベース『えひめの記憶』

えひめの記憶 キーワード検索

面河村誌

四 爬虫類とサンショウウオなどの両棲類

 爬虫類や両棲類は、哺乳類や鳥類に比べて種類も少なく、変化にも乏しい。これらの変湿性の陸生脊椎動物が、面河のような寒冷な気候に適しにくいのは、生活許容範囲が恒温動物に比べて狭いためなのだろうか。その中の例外として、サンショウウオがあげられる。サンショウウオは熱帯には少なく、ほとんど寒帯・亜寒帯に生育するものが多い。石鎚山では、ハコネサンショウウオ・オオダイガハラサンショウウオ・ブチサンショウウオの三種が知られている。亀原付近の川で、落葉の下からサンショウウオの幼生が泳ぎだしたのを少し前には見かけたという。ともに繁殖の時は、谷川へ集まり、それ以外は主として陸上生活、草原や落葉朽木、岩石の下など日光が強くなくしかも適当な湿気のある所を好む。特に、その近くに産卵に必要な水の流れのある場所。貪欲な肉食性で、地上や水中の小動物、例えば、昆虫やミミズ・小型の甲殻類などを食べている。
 ハコネサンショウウオは一名キンネブリともいい、体長一五〇ミリから、一六〇ミリぐらい、手足には黒くて鋭い爪がある。体色は茶褐色、背には橙紅色の筋が通っている。産卵場所は水温約六度の冷めたい水の中。
 ブチサンショウウオは一名ゴマ、体長約一〇〇ミリ、背面体色は茄子紺地又は帯紫褐色、銀白色の班点がある。
 オオダイガハラサンショウウオは黒色で体長一四〇ミリぐらいである。
 これらサンショウウオの名称は、皮膚腺から出る〝におい〟が植物のサンショウ(山椒)に似ているからという。子供の癇・肋膜炎・肺炎等に薬効があるといって、その産卵期に採取され、「キンネブリ」とか「クロ」と称して乾かしたものが売られていた。
 ヘビ類ではヤマカガシ(方言ニシキヘビ)、黒や赤の班紋がある。いちばん多く生息しているが、有毒なものではない。シマヘビ・ジムグリなどは石鎚山頂近くでも、よく見かける。有毒なものはマムシ(方言ハメ)、標高八〇〇メートル以上にはほとんどいない。人家の近くの山・畑に多くいるので、生け捕りにして、〝ハメ焼酎〟むし焼にして散薬に、万病に効くといわれ、特に精力剤として愛用されている。
 タカチホヘビは小型で、正中線に黒条のある山地性のヘビである。石鎚山などで見られるというが、夜行性で人目につきにくいため珍しい。南方系のヘビである。
 カナヘビは日陰を好んで生息している。
 トカゲは人家の屋敷、近く山畑どこにでもいる。その分布は一八〇〇メートルぐらいまで。
 石鎚・面河の全山には、陸上性のタゴガエルとヒキガエルが多い。日本のカエルのうちで繁殖期を除いて、ほとんど水中に入らないのは、ヒキガエルだけである。
 カジカガエルは面河の夏の風物詩、玲瓏とした美声、まさに一服の清涼剤である。面河の渓流のどこにでもいたが近年は少なくなった。
 シュノーゲルアオガエルは田圃や水たまりに住んでいる。喉の大きな鳴き袋をふくらませて「コロコロミ」と鈴の音のような鳴き声を聞かせるのは日本種である。