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美川村二十年誌

第二節 年度別歳入歳出の概要

 昭和三〇年度(千円未満切捨て)
 昭和三〇年度の決算では、歳入総額三、七三一万七〇〇○円、歳出三、七一一万二〇〇〇円、差引二〇万五〇〇〇円が翌年度に繰り越された。歳入の主座は村税であって、その額一三四二万一〇〇〇円、次いで地方交付税の九九二万二〇〇〇円、その他村債・寄付金と続くが、寄付金が何故このように多額に上ったかを見るに、役場庁舎新築に伴う弘形村の寄付金が一五〇万円、仕七川中学校特別教室に対する地元寄付が二三五万円、役場庁舎備品に対する理事者及び議会議員の寄付が二〇万円等である。
 歳出は役場費(主として人件費)が一位を占め一、四〇一万五〇〇〇円、二位は教育費の一二八一万六〇〇〇円、以下産業経済費、その他と続く。この年の主な事業は庁舎建築費及びこれに付帯する関係事業費が六八六万六〇〇〇円、仕七川中学校特別教室工事請負金四七七万三〇〇〇円、特にこの年から耕地関係災害復旧費が特別会計で処理されたが、その内容は水舟水路、堂ヶ谷農道、荒瀬水路、シロ水路、セリ頭首工、内田橋、カツラゼ水路、ウマワタゼ堤塘、カゴバラ頭首工、梶家橋、馬門頭首工、二箆林道の追加工事等が行われた。
 昭和三一年度
 この年の歳出決算額は三、五二四万五〇〇〇円、歳入は三、二九四万三〇〇〇円で、二三〇万二〇〇〇円が繰越されたが、歳入は依然として村税が主座を占め、この額一、四五九万三〇〇〇円、ついで地方交付税一、〇二六万一〇○○円、三位は村債であった。
 なお、この年村有林字マルミヤ団地の立木の一部により一四七万円と、有枝本谷山で二五万円の立木売却収入があった。また村債四〇〇万円は二箆小学校建築費に充当するためのものであった。
 歳出では一位は教育費で一、三三二万二〇〇〇円、二位役場費、三位産業経済費と続いたが、教育費の伸びは前述の二箆小学校の建築費が原因であった。しかし、この年同小学校建築費中、同年支払済のものは三一九万円で残り二二六万円は翌三二年に繰越した。
 この外、黒藤川中学校の特別教室も一三一万五〇〇〇円で建設された。その他特別会計では、仕出農地・仕出シタカイショ・栄重農道・水舟水路・中通水路・二箆水路・東川農道・木地水路・豊久水路等が計画されたが、木地水路・豊久水路・栄重農道は見送られた。
 昭和三二年度
 歳入歳出決算額は別表の如く、この年も一二〇万六〇〇〇円の黒字となり翌年度に繰越された。この年の歳入順位は前年に大差なく、歳出では前年に続いて教育費が主位を占め一、四四一万四〇〇〇円、二位役場費、三位諸支出金、次いで財産費・産業経済費・公債費・消防費の順位である。教育費が依然高いのは前年の二箆小学院の未完成部分二二八万三〇〇〇円、東川小学校の僻地集会所二四二万二〇〇〇円の新設等であり、産業経済費中には藤社林道・カゴバラ林道・蕨打林道・大川林道等の工事が施行されて、その経費が多額を占めたものである。また役場費中には書庫の新設六八万八〇〇〇円が含まれ、財産費中には官行造林地造成のための日野浦カマゲタ山の購入費の残額一七七万円の支出があり、諸支出金の増加は起債償還等の増加に起因する。なお、この年も特別会計で処理されたものは黒旧保水路・大川木地水路・大川豊久水路・本組畦畔・中通水路・二箆水路・本組下水路・内分農道等の災害復旧であった。
 昭和三三年度
 歳入は別表の如く三、八五三万三〇〇〇円、歳出は四、一二五万五〇〇〇円で、始めて赤字を出し二七二万二〇〇〇円を昭和三四年予算から繰上充用した。この年から歳入中一位の村税が地方交付税を下廻り、地方交付税一、五七一万四〇〇〇円に対し村税は一、五三八万六〇〇〇円と所をかえるに至った。歳出では順位に大差がないが財産費が伸びを示した。その理由は中央集会所用地購入費五〇万円、同整地工事費一三四万円、同建築費四六〇万円、このうち当年度支払三九一万円であって、残り六九万円は翌年度払いとした。その外、林業開発費に二二九万八〇〇〇円を投入した。特別会計では三王頭首工・二箆水路・中通水路等合せて二六二万六〇〇〇円の災害復旧工事が施行された。
 昭和三四年度
 この年は再び黒字に転じ、三二五万円の繰越金ができた。収入支出の主なものは地方交付税・村税・財産収入等の収入が挙げられるが狭ヶ谷の山林を凶荒予備組合に返却した事により二二〇万円があった事、また支出では林道等の開設に伴なう林業振興費が一八七万五〇〇〇円等であるが、この年から新農村建設事業が始まり、三次橋(後の岩瀬戸橋)の架設に三一八万五〇〇〇円が投ぜられた外、特別会計では藤社水路・元井谷橋・三次農道等の工事が施行された。
 昭和三五年度
 一般会計決算額は歳入で九二九四万一〇〇〇円、歳出八七一八万九〇〇〇円。歳入では交付税が累年伸びて一九八六万八〇〇〇円となり、村税収入の一四九〇万八〇〇〇円を大きく上廻った。なお、この年財産収入の大巾増があったが、これは主として狼ヶ城国有林の払下げを受けた事による立木の売払いである。払下げ価格は四、〇五〇万円であったが、売払価格は四、六一〇万円であった。
 この外、主な支出では産業経済費七九五万八〇〇〇円、役場費の七八八万九〇〇〇円であった。この役場費と言うのは主として人件費であるが、昭和三八年地方自治法の改正で昭和三九年度以後は姿をかくす事になる費目である。この年の役場費には職員給が七四七万七〇〇〇円含まれていた。産業経済費の重点は産業奨励費であり、この奨励費の力点は農業土木費であって、三一六万九〇〇〇円を費消した。なお、先に述べた狼ケ城の払下げ価格は四〇五〇万円であったが決算段階ではこの利子一八七万七〇〇〇円が支出され、合計四二三七万七〇〇〇円となり、差引三八二万三〇〇〇円と土地約三七ヘクタールが残ったことになった。なお、この年の土木費は二二二万八〇〇〇円である。
 昭和三六年度
 決算上の歳入総額は七〇七八万九〇〇〇円、歳出は六三四〇万円、差引七三八万九〇〇〇円が剰余金として翌年度に繰越された。歳入では昭和三三年以来地方交付税が村税収入を上廻り、以来逐年村税収入を大きく引離して行く事になるのであるが、この年も村税収入一六六一万九〇〇〇円に対し、交付税は二五五八万三〇〇〇円であった。またこの年の歳入中財産収入が七八六万三〇〇〇円あったが、これは村有林の立木売却によるものであって、この金は仕七川小学校屋内運動場の建設財源に充てられた。また支出のうち主なものは梅の瀬橋(大字黒藤川)架橋工事一二〇万円、仕七川小学校屋内運動場及び支障となる校舎移転費の合計九四六万六〇〇〇円、西古味公営住宅及び久主ノ下公営住宅合計一〇戸の建築費三七〇万一〇〇〇円、火葬場一八二万五〇〇〇円、農業土木費二四二万三〇〇〇円。このうち始めての事業として長瀬の開田に対し村費一七万五〇〇〇円が支出された。更にこの年、財政調整基金として一〇〇万円の積立が行われた。この外、特別会計で別途に処理されたものは中通水路・長瀬畦畔・平井畦畔・田渡野瀬水路・田渡野瀬索道・田渡野瀬水路・石本水路・三次農道・東川農道計九件二三八万一〇〇〇円である。
 昭和三七年度
 歳入決算額七〇六五万九〇〇〇円、歳出六五六三万三〇〇〇円、差引五〇二万五〇〇〇円が翌年度に繰越された。歳入中特異なものは地方交付税が大巾に伸長して、村税の概ね二倍に達した事と、この年始めてスキー場が村で開設されてその使用料が、一一万五〇四五円収納された事である。歳出中主なものは、中央中学校特別教室建築費三〇八万九〇〇〇円、上黒岩公営住宅建設工事五八万八〇〇〇円、スキー場施設工事請負金三三三万五〇〇〇円、大谷線開設四〇四万九〇〇〇円、大谷線改良工事一六〇万円、中村山電気導入事業三五万九〇〇〇円、黒藤川警察官駐在所建替工事八二万円等である。この外、上組畦畔・木村水路・二箆頭首工・内分農道・田渡野瀬農道・三王水路・大久保水路・七鳥水路・石本農道・惣津山池・内分農道・藤社農道計一三ヶ所、この金五一五万一〇〇〇円が特別会計で処理された。
 なお、此の年東古味の開田に伴なう補助金として六三万八〇〇〇円、二箆開田に伴なう補助金六五万円の助成が行われたが、これは長瀬開田に伴なう補助の例により、揚水施設設備経費にのみ一部助成したものである。
 昭和三八年度
 税収に若干の伸びはあったが一七六七万五〇〇〇円に止まり、地方交付税は三九七八万四〇〇〇円となった。この年の歳入決算額は八、五〇三万円、歳出七、七四八万一〇〇〇円で地方交付税は歳入総額の大半を握るに至ったが、この傾向は昭和四九年の現在に至るまで概ね同様比率を保っている。
 この年の税収の伸びは主に木材引取税であり、更に財産収入の伸びはスキー場開設に伴なう支障木として官行造林の一部立木売払代金一三四万三〇〇〇円、その他、黒藤川地域集会所及び教員住宅建設資金充当を目的とした村債六八〇万円等がある。
 歳出の主なものは六〇年ぶりと言われた大雪によるもの、及び台風九号の災害応急復旧費であった。大雪による被害では村有林の被害木の雪起し資材(繩代)、及び賃金だけでも二五七万五〇〇〇円に達した。また平井橋の老朽化により、この改修費二六〇万円、また内部的には固定資産の評価替を行ったが、このための臨時職員に対する賃金の支払いは八七万七〇〇〇円に達した。総じてこの年は災害処理と内政の年と言った感が深い。なお別途会計では七鳥畦畔二件・シロ水路・二箆水路・ナルタキ頭首工・本組・下土居橋・とちず水路・ナル水田畦畔外三件・宮の上水路・ビキ石長道・久保田水路・ナル水路・豊久水路ダバ畦畔・本組頭首工・田渡野瀬農道・三王水路など計二五件の復旧工事と、団体営土地改良事業田渡野瀬農道、併せて二六件一九六三万一〇〇〇円が投ぜられた。また特別会計として新たに農業共済事業会計が設けられた。
 昭和三九年度
 本年歳入総額八七八六万円、歳出では七六一〇万二〇〇〇円、差引一一七五万七〇〇〇円が翌年度に繰越された。
 歳入の順位は地方交付税・村税・繰越金・県支出金・雑収入の順である。歳出中主なものは総務費の二〇八七万三〇〇〇円、二位は教育費、三位土木費、続いて農林水産業費・民生費・議会費の順であるが土木費中目立つものは荒瀬橋の架替工事費四五六万八〇〇〇円、県施行に係る村費負担金三〇四万五〇〇〇円の外、村債の本年一年の元利償還が二二一万六〇〇〇円とふくれて来た事である。なお別途会計で処理されたものは災害復旧事業中、農地及び農業用施設に係るもの桑井手頭首工始め二三件、県単土地改良事業二件、計二五件、その経費一、一四七万一〇〇〇円であった。先にも述べたが昭和三八年地方自治法の改正により予算形式がかおり、昭和三九年度より改正法に基づいて予算様式及び内容を改め、従来人件費は役場費の中にあったものを議会費・総務費・民生費・衛生費・農林水産業費・土木費・消防費・教育費等にそれぞれ人件費を組込み、いわゆる歳出の目的別編成がなされた。またこの年条例により財政調整基金一〇〇万円を毎年積立てる事とした。参考までに改正された予算形式の一部を記すと総務費中には総務管理費・徴税費・戸籍住民登録費・選挙費・統計調査費・監査委員会費・企画費・地積調査費が含まれ、総務管理費の中には一般管理費・文書広報賞・会計管理費・財産管理費・防犯対策費・交通安全対策費・財政調整基金費・地域社会振興対策費等が包含され、民生費は社会福祉費と児童福祉費に分れ社会福祉は社会福祉総務費と老人福祉費に、児童福祉費は児童福祉総務費・児童措置費・母子健康センター費・母子福祉費に分れる。衛生賞は保健衛生総務費・予防費・環境衛生費からなり、農林水産業費は農業費と林業費に分れ、更に農業費は農業委員会費・農業総務費・農業振興費・畜産業費・農地費からなり、林業費は林業総務費・林業振興費・林業構造改善事業費・治山治水費に分る。また商工費は商工振興費と観光費に、土木費は道路橋梁賞・河川費・住宅費からなり、教育費は教育委員会費・小学校費・中学校費・社会教育費・保健体育費に分類されて、さらに必要な目がおかれている。その他、議会費・消防費・災害復旧費・公債費・諸支出金・予備等もある。
  昭和四〇年度
 この年の歳入総額は、一一、一二一万一〇〇〇円と一億の大台に乗った。歳出総額は九八七一万一〇〇〇円、差引黒字一二五〇万円であった。歳入中、地方交付税は五三九三万円と歳出の五〇%を越えたが村税は依然として伸びなやみ一八一六万八〇〇〇円に止まった。この外、国庫支出金七一二万円、県支出金六九〇万六〇〇〇円、村債四三〇万円、寄附金三九六万八〇〇〇円その他となっているが、これを歳出で見ると母子健康センター建設費(整地費を含む)四八三万三〇〇〇円、七鳥簡易水道七五万円、岩屋寺休憩所六八万六〇〇〇円、スキー場の駐車場三二〇万四〇〇〇円、スキーリフト電気設備費一九八万九〇〇〇円、観光特別会計繰出金二〇〇万円、学校給食設備費中小学校分二五一万四〇〇〇円、中学校分二一万五〇〇〇円、災害復旧工事費四六二万四〇〇〇円、公債費(借金の本年度償還金)三二六万九〇〇〇円等が主なものである。本年から災害復旧等も一般会計で経理された。
 またこの年観光事業特別会計を創設し、同会計では村債一〇〇〇万円を含む歳入一二七〇万三〇〇〇円をもってスキーリフト及び管理事務所を建設したが、その経費は一、一四〇万二〇〇〇円であった。
 昭和四一年度
 本年歳入として新たに加わったものは臨時地方特例交付金一一五万五〇〇〇円であるが、これらを含めた歳入総額は一二、八一六万五〇〇〇円、歳出は一一、三二五万二〇〇〇円と始めて歳出も一億円を突破した。歳入の順位は交付税、村税、繰越金、国庫支出金、県支出金、財産収入等となっているが、この年の村債は三〇〇万円であった。歳出順位は総務費、土木費、教育費、農林水産業費、その他であって、そのうち主な事業は大谷林道工事費二八一万九〇〇〇円、低開発地域振興対策事業一五九万一〇〇〇円、沢渡橋改修工事四四七万六〇〇〇円、岩屋寺橋三六四万六○○○円、災害復旧事業八ヶ所で三二六万六〇〇〇円、公低費三三五万六〇〇〇円等であり、観光事業特別会計では村債六四〇万円等を含めて歳入総額一、〇八九万二〇〇〇円が計上され、歳出ではスキーリフト残工事六三七万一〇〇〇円の外、貸スキー五四万四〇〇〇円、天幕・毛布で一五万五〇〇〇円等が主なものであった。
 昭和四二年度
 この年の歳入決算総額は一七、一三六万七〇〇〇円、歳出一四、〇〇〇万円、差引三一三六万七〇〇〇円であった。歳入は地方交付税七、四一七万五〇〇〇円を筆頭に村税・県支出金・繰越金・分担金及び負担金・村債・国庫支出金・寄付金・財産収入・諸収入・使用料手数料の順であり、歳出では土木費・総務費・農林水産業費・教育費・議会費・衛生費・民生費・公債費・消防費等の順位であった。主な事業は大川豊久農道五九九万六〇〇〇円、大谷線・木地線改良等に伴なう村費負担八九〇万円、農地農業用施設復旧等に伴なうもの一三七万円、土木工事四ヶ所二五〇〇万五〇〇〇円、橋梁改良二一四万五〇〇〇円、公共土木災害復旧二八万一〇〇〇円等であった。
 観光会計ではスキー場使用料四三七万七〇〇〇円、一般会計繰入金二一○万円を含む歳入合計七〇四万六〇〇〇円に対し、歳出では四二八万六〇〇〇円であって、その主なものはスキーコース整備費六五万八〇〇〇円、駐車場整備費七四万六〇〇〇円の外、スキー場の経営費に充てられたものである。
 昭和四三年度
 本年新たに自動車取得税交付金、及び交通安全対策特別交付金等の国庫からの歳入が始まったが、これらを合せた歳入総額は、一八、九六一万一〇〇〇円、歳出総額は一七、七五七万八〇〇〇円であって、一、二〇三万二〇〇〇円が翌年度に繰越された。
 歳入は地方交付税八、五八四万四〇〇〇円、繰越金三、一三六万七〇〇〇円、村税一、九八一万八〇〇〇円、県支出金一七五五万一〇〇〇円、国庫支出金九三五万三〇〇〇円、村債五一〇万円、寄付金四二二万六〇〇〇円、その他諸収入・分担金及び負担金・繰入金・使用料手数料・財産収入の順となり、歳出の主なものは大谷集会所二三三万八〇〇〇円、久万町にし尿処理場を建設した村負担金二五二万円、この年野ねずみの発生著るしく被害莫大のため、野ねずみ撲滅対策費として二四万四〇〇〇円を支出した外、明治百年記念として御三戸中央集会所横の土地購入と記念行事費として八万四〇〇円の支出があった。
 この年の観光会計へは一般会計から一、五〇〇万円の繰出をしたが、これは観光会計借入金の繰上げ償還に充てるためのものである。その他歳出中主なものは道路新設改良費一〇ヶ所(大谷線)一一四五万三〇〇〇円、財産購入費七三三万五〇〇〇円等であったが、詳細は別途に述べたい。観光会計では収入合計二、一九二万五〇〇〇円であったが、主なものは前述の一般会計からの繰入金とスキー場使用料収益の三〇三万七〇〇〇円であり、また歳出の主なものは繰上償還の一六一五万九〇〇〇円であった。 
  昭和四四年度
 収支決算額は年と共に大型化し、この年の歳入総額は、二二、六九〇万八〇〇〇円、歳出は二〇、四四三万五〇〇〇円に上昇した。このうち歳入の最たるものは、依然地方交付税で、一一、一〇九万七〇〇〇円、県支出金三、三五五万九〇〇〇円、次いで村税二、一〇二万六〇〇〇円と、ようやく二、〇〇〇万円台に達した。その他国庫支出金、繰越金、村債、分担金その他の順となる。歳出では農林水産業費が主位を占め、四九一七万円、総務費四八一八万一〇〇〇円、土木費三四〇三万六〇〇〇円、教育費二九一五万三〇〇〇円、民生費一五五八万九〇〇〇円、その他議会費・災害復旧費・公債費・衛生費とつづくが、特に社会福祉政策の充実に伴い民生費が大きく台頭するに至った。
 この年の主な事業、又は特殊なものは仕七川駐在所敷地造成工事五万二〇〇〇円、中央集会所横駐車場造成工事費三二〇万三〇〇〇円、ヨラキレ電気導入に伴なう経費三二五万八〇〇〇円、火葬場取付道舗装及び納骨堂工事二三万三〇〇〇円、大川内田線改良工事一九五万八〇〇〇円のほか振興山村農林漁業特別開発事業に着手したが、本年度は梶家農道・アジヤリゴ水路・ソデノ水路・田渡野瀬水路・シロ水路・ジデン水路・大川上水路・内分揚水機・黒田長道・沢渡水路等の改修が行われ一、〇三八万六〇〇〇円、林業構造改善事業として森林組合へ支出した額一、四一九万円、愛媛県森林組合連合会による上浮穴木材市場建設費の内へ村費二三五万六〇〇〇円、平井林道・蓑川林道・中村林道・木地林道等に対する助成金五三万三〇〇〇円、椎茸生産施設一〇ヶ所の設置に対し二三五万五〇〇〇円、村道沢渡線の測量費四〇万円、土木県工事地元町村負担金六九四万三〇〇〇円、三和橋六〇九万円、長瀬橋架替費六六四万円、宮前橋改良工事へ一二八万円、岩瀬戸橋々脚補修外五件で四九一万五〇〇〇円等と、かなり盛りたくさんの事業が処理された。また観光会計ではスキー場の共同便所及び水道施設・照明施設等が新設されて内容が一段と整備されたが、この工事費は合せて二二〇万一〇〇〇円であった。
 昭和四五年度
 歳入は依然地方交付税がトップで、その四六%を占め、一三、八二一万五〇〇〇円、次が県支出金で一五%、村債は村税を上廻って二、三九〇万円で三位となり、四位村税の二、二七三万三〇〇〇円、五位繰越金、六位国庫支出金、次で分担金及び負担金・寄附金・諸収入等の順となり、その総額は二九、八四八万一〇〇〇円であった。
 歳出では引続き農林水産業費が主位を占め、全体の二四%、六、八七一万九〇〇〇円、次が教育費六、二五〇万五○○○円、総務費五、七九九万四〇〇〇円、土木費四、四二九万円、民生費一、七八三万四〇〇〇円、衛生費八七八万五〇〇〇円であった。
 この年から一〇年計画で国土調査事業(地積調査)を始めたが、これらを含んで主な事業は次の様なものであった。役場庁舎増築工事三一七万九〇〇〇円、御三戸駐在所敷地造成工事四〇九万一〇〇〇円、農道四ヶ所で四七九万五〇〇〇円、地積調査費一九五万円、林業構造改善事業及びこれに関連する総事業費二、九五五万一〇〇〇円、道路改良及び舗装に伴なう村費支出額一、五三九万三〇〇〇円、中央中学校体育館建設費二、六四二万円、うち建物請負費二、二九六万七〇〇〇円等である。
 昭和四六年度
 この年の歳入総額は三六、七九五万九〇〇〇円、歳出総額は三三、八五一万七〇〇〇円と伸長した。また歳入は地方交付税が四六%を占め、一六、三五六万六〇〇〇円、県支出金六、一二四万三〇〇〇円で全体の一六%、次に村債・繰入金・村税・国庫支出金等となっているが、本年特に村債が著るしく多額になったのは、山村振興法(略称)の適用及び過疎地域振興法等の指定事業を実施するための財源として借入れたものである。この償還方法及び額等は財政編のはじめに述べているので省略するが、二〇~三〇%の償還で足りる最も有利な村債である。
 これらの財源がいかに費消されたか、主な事業を列挙すると先ず黒藤川集会所・御三戸集会所の新築及び歯科診療所整地工事等で三六万四〇〇〇円、国土調査費一、〇六七万三〇〇〇円、歯科診療所新築工事費六〇一万九〇〇〇円、団体営東古味農道外一一件二、六九三万円、本組農道外五件で一三二万七〇〇〇円、林業構造改善事業中、森林組合が事業主体となって施行したものに対する森林組合補助金二、五〇六万一〇〇〇円、淡水漁種苗生産施設(あめのうお孵化場)一一六万円、ペイローダー(タイヤ付ショベル)六三〇万円、山村振興特認事業沢渡道路費一二〇五万円、蕨打線改良及び舗装費八八〇万九〇〇〇円、県道改良及び舗装に対する村負担金八六四万九〇〇〇円、七鳥橋三一八万円、土地購入費九二五万円、特筆すべきは地域集団電話村内八〇七戸取付に対する村費補助金八〇二万一〇〇〇円等である。また歳出の款別支出額は総務費・農林水産業費・土木費・教育費・民生費・衛生費の順になっているが、特にこの年一〇月から老人医療費の無料化に伴なう村費負担も加わり、民生費が一、八六四万円と上昇した。
 この年、上黒岩字カワツケ四、六三七平方㍍を小田町福森松雄より購入六八〇万円の外、上黒岩字ムカイゴミ、同ウズノウエ、矢竹保存増殖地として大字黒藤川字ヤダケ、スキー場駐車場用地等合せて一六、三六四平方㍍を一三四九万円で購入した外、東川に教員用住宅一棟も購入した。また一〇月一日から始まった老人医療は翌四七年三月末日までに延四三三件の利用があった。この外、役場を中心として周辺の水不足解消のために上水道を作ったが、この経費二二〇万四〇〇〇円を要した。
 観光特別会計では工事費二四七万五〇〇〇円を投じてスキー場第三駐車場を建設した外、スキー場に至る遊歩道三六〇㍍、三二〇万円を投資した。
 昭和四七年度
 歳入総額四九、〇五〇万円、歳出総額四五、八一一万七〇〇〇円、差引三、二三八万三〇〇〇円が翌年度に繰越されたが、昭和四〇年に始めて一億円の大台に乗った決算額が、以来七年にして約五倍にはね上ったものである。
 合併当初は歳入の主座は村税が握っていたが、この年の村税は六位に転落し、額においても地方交付税二〇、〇三五万一〇〇〇円に対し二、六二八万四〇〇〇円であって、全体に占める割合は五%強に止まるに至った。
 自主財源の乏しい貧困な町村を三割自治と言う言葉で表現しているが、三割はおろか一割にも充たない自主財源で次々とかなりの大事業が消化できる事は地方交付税によるとはいいながら有難いご時世ではある。さて本年の主な事業は村道沢渡線の延長工事四六五六万円、成川藤社線舗装工事四一五万円、成川橋架替費四三六万円、西古味村道改良及び舗装九九五万六〇〇〇円、仕出平和橋改修費六四六万円、ヨラキレ橋改修五六六万円、農道田渡野瀬線舗装七二〇万円、農道蓑川線開設二、一五一万三〇〇〇円、林道馬の谷線一、六〇〇万円、林道田渡野瀬線新設一、〇〇〇万円、林道イショブネ線開設三〇〇万円、林道平井線開設三〇〇万円、岩屋寺遊歩道一、〇〇〇万円、中央公民館増築五二〇万円、仕七川中学校体育館建設二、三〇〇万円、美川診療所建築二、二三九万七〇〇〇円等の外、大字日野浦本組所有の山林外六筆、その面積七、〇三六平方㍍を一、二二四万円で買収した。
 この年国土調査費一、九一一万八〇〇〇円、老人医療件数二、〇九七件、このうち公費負担額六七九万三〇〇〇円、児童手当該当者二五八人に対し三二八万五〇〇〇円、県工事地元村負担金一、三〇一万五〇〇〇円を支出したが、この工事は県道の改良と舗装であった。
 昭和四八年度
 この年、本誌執筆時点では決算に至らないので予算に基づくの外ないが、歳入歳出予算総額はそれぞれ五三、三六四万三〇〇〇円である。恐らく、決算段階では三、〇〇〇万円程度の黒字と予想される。
 歳入は一位交付税、二位県支出金、三位村債、四位繰入金、五位村税、六位国庫支出金、(以下略)となっている。本年から新たに地方譲与税が加わり、二八〇万円の収入が予想されており、また特別土地保有税の新設によってその収入一〇〇万円を想定しているが、この特別土地保有税の対象は二箆地区ゴルフ場用地である。歳出の特異なものは三九年度以来積立てていた財政調整基金へ本年は八〇〇万円、さらに土地開発基金を新設して六三八万四〇〇〇円を積立てた。その他を合算すると基金総額は三、四三八万四〇〇〇円となり、不測の出資に備えた事、さらに愛媛県が本村を「文化の里」に指定したのは上黒岩の繩文遺跡に由来するので、その名にふさわしい収蔵庫及びこれに通ずる道路改修の外、駐車場整備等に一、五四九万一〇〇〇円を投じた事、並びにテレビ中継所建設に対する愛媛放送貸付金一、三〇〇万円、郡土地開発公社への出資金一〇〇万円等である。
 本年度の主な事業として大川出口橋架替工事、御三戸荒瀬線の待避所の新設、中央体育場新設、高山農道延長、林業構造改善事業の一環として新築したスキー場手前の総合案内施設・イダイ林道・藤社林道・成川藤社線の舗装・御三戸荒瀬線舗装・内分農道舗装・平井橋改築・村道沢渡線の延長・ヨラキレ橋改築・田渡野瀬農道の舗装延長・ヨラキレ道路災害復旧工事等の外、国土調査事業一、二一九万五〇〇〇円等がある。黒藤川保育園の新築もこの年行われたが、老人医療費が大巾に上昇して一、五〇六万八〇〇〇円となり、大きなウエイトを占めることになった。