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わがふるさとと愛媛学Ⅱ ~平成6年度 愛媛学セミナー集録~

◇まち全体を、生きた「紙の博物館」に

 最後に、そのような歴史を大事にするということに関連して、もう一つお話ししたいことがあります。
 それは、今ある製紙工場なり手漉き和紙の作業工程なりをオープンにして、この町そのものが生きた博物館とならないかなということです。実際に産業界も働きかけてオープンにしてもらって、どんなことをやっているのか、どんな工程があるのか、どういう経路でそれが成り立って行くのか。紙だけに限らず、紙を切り口としていろんなことが考え出せると思うんです。だから、建物を作ることを御提案しているのではないんです。
 今までは、「お父さんの仕事は?」「うーん、わからない。」というのが、ほとんどだったと思うんです。でもそうではなくて、たとえば製紙工場にお父さんが働いているんだったら、子供が「今日はこんな紙を漉いていて、今日はこんな紙だったよ。」と報告してくれたら、お母さんが「あらすごい。ちょっと見に行こうか。」という。
 まず町の人たちが、自分たちの町の産業なり、製造業なりを楽しまないと、その町にくらしている意味がないとまでは言いませんが、楽しく生きていけないんじゃないかな、つまらないんじゃないかなと思います。
 だから新居浜も、これから10年、20年先を目指して頑張ります。皆さんも、どうかそういったまちづくりで頑張ってもらい、お互いにエールを送りながら、いい方向に発展させていければ、最高なんじゃないかな。そのためには、私たちも労を惜しみませんし、お互いに拍手するなり、肩を叩くなりして、頑張っていきたいと思います。今日は、そういうお話をさせていただきました。御清聴ありがとうございました。